根管治療 東京のポイント

九○年代の「失われた十年」が、為替レートの急上昇、デフレーション、デフレに伴う実質時間当たり賃金の上昇(これには、労働時間短縮、時短の影響も大きい。 サブプライム・ローン危機後のアメリカに、これらのことは起こっていない。
危機後のアメリカの金融緩和は迅速で、デフレや為替レートの上昇を避けているからである。 ただし、最初の衝撃をアメリカの金融政策が本当に和らげることに成功しているかどうかは、今後の進展を見なければ分からないが、アメリカ発世界金融危機の影響が「アメリカの失われた十年」をもたらすとは考えられない。
その理由は、第一に最初の不良資産の衝撃が日本の半分程度であると考えられること、第二にアメリカの対応が早いことである。 対応の早さは、その影響を日本の半分以下に抑えるだろう。

すなわち、金融危機の影響は日本の八分の三、アメリカの失われた三年半をもたらすだけで終わるだろう。 アメリカが失われた三年半になるとは、二○○八年から二○二年まで平均一%の成長になるということである。
二○○八年は一%だったから、二○○九年がマイナス一%成長なら、二○一○年にはプラス成長が期待できるということである。 アメリカにおける消費比率(個人消費/GDP)を示したものである。
二○○○年以降にアメリカの消費比率は、それ以前の六七・五%から二○○○年以降には七一・○%へと三・五%もジャンプしている。 住宅投資比率(住宅投資/GDP)も、それ以前の四・四%から五・三%へとジャンプしている。
また民間投資比率(民間企業設備投資〆GDP)も、一○%から二%へとジャンプしている。 減っているのは経常収支の対GDP比率である。
すなわち、経常収支赤字の拡大である。 このような支出増は、住宅価格や株価など資産価格の高騰を背景にしたものである。
アメリカの住宅価格の上昇を示しているが、この資産効果がアメリカの消費比率を上げ、消費と住宅投資主導の成長をもたらしたのは間違いない。 すると、今度は、住宅価格の下落が、逆資産効果となって、アメリカの消費を低迷させるだろう。
消費比率の三・五%のジャンプが調整されるとすれば、今後、アメリカの消費を停滞させるだろう。 一般的には逆資産効果は資産額の減少による未実現の損失がマインドの悪化を通じて消費を減少させる効果である。
しかし、アメリカのように金融市場が発達した国では、自分の住んでいる住宅の価値が購入額を上回れば、ホーム・エクイティ・ローンやリファイナンスなどによって、住宅純資産価値を担保として資金の引き出しが容易かつ低コストで行える。 資産効果はマインドを通じたものだけでなく、実際の資金出し入れを伴うものによっても膨張しやすい。
また、住宅は株式と異なり、中低所得層にも広く所有されており、この層の消費性向は相対的に高いことから、住宅の資産効果は、株などの金融資産に比べて大きく出やすいという説もある。 資産効果についてはさまざまな研究があり、これらを用いて逆資産効果の大きさを考えてみよう。

アメリカ議会予算局の実証研究サーベイ(によれば、一ドルの住宅資産の増減は五セント(ニ〜七セントの範囲で分布)程度消費を増減させる結果となっている。 では住宅資産額はどの程度減少するだろうか。
住宅価格指数の先物は、二○○六年六月のピークから二○一○年二月までの約四年半で三七%下落することを示している。 家計部門の実質住宅資産額は○六年六月末に一八・八兆ドルに達した。
先物の予言を住宅資産額に当てはめると、ピークから約七兆ドル減少することになる。 これによる消費への逆資産効果は、七兆ドル×五%で三五○○億ドル、GDPの二・五%となる。
消費の逆資産効果は、○八年の後半にやっと表れたばかりなので、今後GDPの二・五%の需要下押し圧力が生まれてくるということだろう。 これは先述の三・五%の調整よりは小さいが、資産効果には株価上昇によるものもあると考えれば、GDPの三・五%の消費下落があってもおかしくない。
ただし、アメリカの実質成長率の巡航速度は三%程度なので、仮に二一・五%の消費下落があっても、マイナス成長は一年ですむということにサブプライム問題に火が付いて以降は、住宅価格の下落に加え杜撰な融資の揺り戻しで銀行の貸し出し態度が厳格化している。 不動産バブルの中で住宅資産価値を担保に錬金術的に引き出した資金で過剰消費をしてきたアメリカで、今このスキームが立ち行かなくなっている。
一方、バブル時代の日本を見ると、消費にも住宅にも大きなジャンプは見られない。 住宅投資にジャンプが見られないわけではないが、それも五・三%から六・○%に上昇した程度である。

日本でバブルがあったのは、民間投資比率(民間企業設備投資/GDP)である。 図には投資率も示している。
バブル前の投資率は一二・五%だったものが、バブル期には一五・八%と実に三・三%ポイントも高まっていた。 バブル崩壊とともにこの比率は急落し、一四%前後で横ばいとなった。
アメリカでは人々がバブル状態になったが、日本では企業がバブル状態になったことになる。 アメリカでは消費、住宅、投資合わせて、五・四%ポイントのジャンプがあったのに対して、日本では四%ポイントのジャンプだったことになる。
バブル期のアメリカの過大支出の方が大きいが、極端に大きいという訳ではない。 現在、アメリカは大きな不況に陥りつつある。
住宅投資は二○○六年一〜三月期からマイナスに転じていたが、足もとでは、これまで景気を支えていた消費がマイナスになっている(一九九一年第4四半期以来の連続マイナス)。 低迷する内需に代わって、GDPの中で成長に寄与してきたのは純輸出である。
ただ、輸出が大幅に伸びるというより、輸入が減少していることによって純輸出が経済成長率を押し上げている面もある。 夏場以降の原油価格の下落もあって、アメリカの経常収支赤字は二○○六年七〜九月期をピークに縮小している。
経常収支赤字の縮小は、米ドルの行方を心配している人々にとってはよいニュースである。 しかし、これは他国の対米向け輸出が減少することと同義で一方、短期的に景気を挺入れする、雇用を創出するための対策のメインは、一九五○年代にある。
世界の成長を牽引してきたアメリカの消費が、世界を支えられなくなっている。 経常収支赤字には歯止めがかかっているが、前述のように、財政赤字は急激に悪化することが予想されている。

O新政権は二○○九年一月二○日から正式にスタートしたが、二月の大統領選挙から一カ月半でほとんどのポストが指名され、新政権の骨格が明らかになっている(正式には、上院で承認を得る必要がある)。 国民の期待が非常に高い新政権が緊急に取り組まなければならない課題は悪化する経済情勢であろう。
足もとの経済危機に対して大規模な景気刺激策を実行する姿勢を鮮明にしている。 一月八日にO新大統領が演説で示した青写真「国営」では、今後二年間で三○○万人の雇用を創出する目標を掲げた。
また、O政権の閣僚であるR大統領経済諮問委員会(CEA)議長たちの計算によると、景気刺激策の効果として、二○一○年一○〜二一月期で三○○〜四○○万人の雇用が創出・維持されるという政権メンバーによる試算結果を発表した)。

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